虐待家庭を捨てる。親友の存在と親友が与えてくれた生きる意味。|第3回・機能不全家族とPTSD

虐待家庭を捨てる。親友の存在と親友が与えてくれた生きる意味。|第3回・機能不全家族とPTSD

こんにちはこんばんは。氷野です。

先週は紫絵里さんを苦しめた家庭環境と、親友との物語、アンバランスなこころを診断されるまでの経緯、早すぎた結婚と離婚、そして家庭への決別を決めるまでを書いていただきました。

今週はその後の紫絵里さんの闘いを書いていただきます。

悪魔への決別宣言、そして…

「あんな家からはもう逃げたい。」

そこからは早い流れでした。

医師は母親だけを呼び出し、面談を行いました。

父親は危険過ぎると判断してのことでした。

治療過程の説明をしている医師の話を、母親は涙を流しながら聞いていました。

しかし5分も経たないうちに医師が母親に
「わたしに芝居を打つなんて、喧嘩を売る気ですか?」
と母親を睨み付けながら静かに言いました。

なんのことかしら?ととぼける態度の母親に、今度は声を荒げて厳しく弾劾します。

「あなたは犯罪者です!」
「あなたは立派な加害者なんですよ!分かっていますか?」

ここからは修羅場でした。

母親はヒステリーを起こして部屋の物を壊しまくり、医師と看護師、臨床心理士に暴言を吐きまくりました。

そしてわたしの胸ぐらを掴み、

「あんたを生んだことで、わたしの人生はメチャクチャだった」
「あんたなんて生むんじゃなかった」

わたしは掴まれた母親の手をゆっくりとほどきながら、この人こんな顔してたっけ?なんて思い

「ならばもう、親子ごっこはやめましょう」
「愛してくれずに、ありがとう」
「さようなら、母親面した悪魔」

親友への報告。相変わらずの親友。

親友からの「おめでとう」。

どのように病室に戻ったかは覚えていませんが、ベッドに腰掛けながら思ったことは、

「下らないヤツ」
「あんな風にだけはなりたくない」

でした。

喫煙所へ行きタバコをふかしながら親友に電話をして、
「終わったよ、ケリをつけたわ」
と笑いながら報告をしたら、親友は、
「おう、お疲れさん!」
と言い、そして。

「それでさぁ、住むならやっぱ2階がいい?」

親友の不意打ち質問に思わず
「何が?」
と返したら親友は事も無げに、

「めっちゃ働くからさ、あんたは病気のことに集中しな」

…あ、そうか。

2人で住む場所…わたしの帰る場所をか…

私の、
「先にプロポーズだと思うけど?」
との返しに親友は、
「これからはもっと守るから。」

これまたらしくない親友の返しに、
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
と答えると、フッと鼻で笑われた後、

「誕生日おめでとう。」

わたし、まだ大丈夫だな。

生き直そう。

今度は本当に生きよう。

生きているような、からの卒業だ。

失った?いや、捨てたんだ。

この入院で失くした物はありませんでした。

わたしは両親を捨てました。

いえ、親のようなものでした。

所謂【大人のカテゴリー】に入った人間は、傲慢で、身勝手で、自分の保身のためならば平気で他者を傷付ける。

わたしは母親との決別と共に、
「大人のカテゴリーには決して入るまいと」
と強く決意しました。

とても子供じみた考えかもしれません。しかし大人が嫌い。

母親を反面教師にして真面目に生きよう。

ここからが本当に人生のスタートだと、思い切り背伸びをして、深く深呼吸をしました。

解けない支配と闘う日々。

捨ててもなお追ってくる「親」。

退院してから親友が用意してくれた古いマンションへ直行し、新しい生活がスタートしました。

障害者年金の申請が通り決まったお金が入る安堵感に胸をなで下ろしながら、通帳を見て愕然としました。

看護師をしながらコツコツ貯めた通帳の残高が0円になっていたのです。

そうです!

あの鬼達は、わたしの財産まで根こそぎ奪ったのです。

その額400万円越え…チーン!

しかしもう関係ない。

手切れ金としてくれてやる!

あーー!チクショーー!笑

治療のリスタートを切る。

そして通院治療を再開しました。

入院中は主に薬物治療だったため、薬を減らすことから始めましたが、暫くの間は凄まじい副作用に苦しめられました。

1錠減らしては絶不調になり、慣れて来たらまた1錠減らして苦しむの繰り返しの日々でした。

ですがこれは何とか耐えられました。

1番辛い症状だったのは、支配から抜け出せないがための、自己否定による自傷行為への欲求衝動のコントロールでした。

フラッシュバックで過去に引き戻されて

「生きていてはいけない」
「生きる価値なんてない」

おぞましい記憶が、まるで今現在のことのよう生々しく甦り、誰かが耳元で囁くのです。

「あんたは汚れている!」
「あんたは消えるべきだ!」

この頃は統合失調症が酷くなっていました。

食事も喉を通らず、【摂食障害】も、もれなく追加されてしまいました。

親友のありがたさ。そして再び生きることを問う。

ありがとう、おばさん。

症状に追い立てまくられているわたしのことを、とても1人にしておけないと、親友のお母さんが毎日のように来てくれました。

通院の際も車で一緒に行ってくれたり、泣きながら訳の分からないことを言うわたしを抱き締めてくれて
「いい子だね。大丈夫だよ」
と、頭を撫でてくれたりしました。

あまりの温かさに、そのまま寝てしまうこともありました。

子供の頃からいつも優しかったおばさん。

居てくれて、ありがとう。

見捨てないでくれて、ありがとう。

わたしのご主人様(笑)

わたしのご主人様(笑)は、あの日に宣言通り仕事をバリバリしてくれました。

ある商業施設の受け付けをしており、帰りはいつも夜中の1時過ぎでした。

ですが家事が一切出来ない干物女。

なのに手料理を要求する、食いしん坊万歳ヤロウ 笑。

自分が食べたい料理の材料を買って来ては「よろしくー!」と仕事へ向かう、手の掛かるご主人様。

しかし彼女のこの行動が、わたしを前向きにしてくれたのでした。

リクエストされた料理を作ることが楽しくなっていき、やがて家事をすることがわたしの生活の糧となったのでした。

家の中をピカピカにしておくことを勝手にわたしの役割として、彼女に対する「迷惑を掛けてばかりで申し訳ない」という気持ちを楽にしました。

はい、勝手にです 笑。

しかしそれはきっと、彼女が無意識にしてくれたことだと思いました。

計算なんて出来ない子なので、彼女の無意識の優しさだと思いした。

「あなたにも出来ることがあるよね?」

わたしはやっと少しだけ、自分の居場所が出来ように感じました。

そしてこの頃わたしは再び「生きている意味を問う」ようになりました。

出た答えは簡単でした。

「今は生きることに意味なんて要らない」
「ただ生きたいだけ!」

「生きてる意味なんてあるわけねーだろ!」と思っていた中学生のわたしよりは、少しは成長出来なのかな?

それでも容赦なく追いかけて来る症状との闘いは、まだ始まったばかりでした。

矛盾。

再び、入院。

通院治療を始めてから年数を重ねても、一向に治まる気配のない症状たちに悩まされていた頃、医師から再度の入院治療を勧められました。

「違う医師の治療を受けてみるのもいいかもしれないね」
と言われ、
「あぁ、先生も限界を感じているのかな?」
と感じ取り、経済的なことも考慮して、期間を2ヶ月に決めて再度の入院生活が始まりました。

以前よりも開放的な病棟で、他の患者さんたちも「くつろいでま~す」といった感じでした。

日に1度の面談以外は自由に過ごせ、みんなはお昼ご飯を外に食べに行ったりと、とても自由でした。

担当医は初めての女医で、ハッキリとした物言いをする先生でした。

入院して初めての面談で
「こんなこと言ったらダメだと思うんだけどごめんね。」
と前置きをしてから、言いました。

「本当によく耐えて来たね。」

やはりわたしのような事例は専門医からみても、寒気がするほどの特異性と、残虐性があるとのことでした。

改めて自分が置かれていた場所の異常性と、鬼たちからの支配から逃れられたことに安堵しました。

そして抱く、疑問。

入院生活は思っていたよりも快適で、他の患者さん達とも色々な話が出来ました。

驚いたことは、みなさんそれぞれが深刻な苦悩と症状を抱えているのに、悲壮感がなく明るいということでした。

そして他の患者さんに対して否定的なことは言わず、常に人を思いやる心で接してくださる姿勢に、
本当に病んでいるのはどちらなのか?
傷付けられた側の人間が苦悩を強いられることは違うのではないか?
そのような疑念を強く抱くようになりました。

精神疾患を抱えて生きている方は、必ず背景に深刻な事情があります。

そして殆んどの方々が被害者であり、加害者が存在するのです。

しかしここに居る方々は世間から弾き出され、一方の加害者は平然と社会に溶け込み、普通に暮らしている矛盾。

そんなの間違っている。

本来この場所に居るべきは、加害者側の人間のはずだ。

わたしは面談の時に訴えてみました。

「そのような矛盾は何故許されるのか?」
「本当におかしいのは加害者だ」

医師からの返答は、

「わたし達も日々、その矛盾と闘っているのよ。」
「そして、あべこべな罪の行方を変えるべきだとも考えています。」
…「本当に、バカ野郎な社会ね!」

この言葉を聞けただけでも、入院した価値はあったなと思いました。

そして「バカ野郎な社会」の中で、わたしはこれからどう生きて行くべきだろうか?と、39℃の知恵熱を出すほど(笑)考えました。

これまでの更新:

わたしを苦しめる【歪んだ親子関係】。唯一の【安心できる場所】|第1回・機能不全過程とPTSD

悪魔との決別。アンバランスな心。早すぎた結婚と別れ|第2回・機能不全家族とPTSD

家を出る。親友の存在と親友が与えてくれた生きる意味。|第3回・機能不全家族とPTSD

終わりのない闘い。心の断捨離。過去と現在と未来。|最終回・機能不全家族とPTSD

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