発達障害があると怪我をしやすい?運動機能との関係|第七回・発達障害を考える

発達障害があると怪我をしやすい?運動機能との関係|第七回・発達障害を考える

今日はものすごく疲れていて、何もできない日だった。ここ連日サイトの開設やらブログ記事の更新やらで脳が過活性状態だったので、その反動が来たのかもしれない。余分に薬をもらっておいてよかった、本当は通院の日だったのだがあまりの眠気に起き上がることもままならず、一日ぶっ通しで眠ってしまっていた。

そういうときはえてして怪我をしやすいものだが、例に漏れず机の角に足をぶつけてミミズ腫れを作ってしまった。

今回は発達障害と親子関係についての記事を書く予定だったが、予定を変更して、発達障害と運動機能について書いていこうと思う。

発達障害と「動きにくさ」

眼の動きと身体の動きは連動している

次の論文は、目の動きと立っている時の姿勢の制御について研究したものである。

眼球運動が立位姿勢制御へ及ぼす影響

これによると、

1)素早く動くものを注視している時は視野が狭くなり、姿勢が安定する傾向にあるが、2)ゆっくり動くものを見ている時は姿勢がぐらつきやすくなる傾向にあるのだという。

発達障害を持っていると目が動かしにくい?

こちらの論文によると、発達障害を持っている人の5人に1人は文章を読む時に業を読み飛ばしてしまうなど、眼球を動かすのが苦手な傾向にあるのだという。

発達障害と「身体の動きにくさ」の困難・ニーズ

姿勢に関しても、何かに熱中していると姿勢が崩れてしまったり(37%)、まっすぐに座れず椅子にもたれかかってしまったり(25%)、姿勢を保つために力を入れすぎるなど大変な労力を使ってしまっていたり(20%)している人の割合が高かった。

発達障害と脳機能異常

近年の研究によると、発達障害は脳機能の異常によって引き起こされている脳疾患ではないかという報告がされている。

発達障害の程度が軽度である子どもの発達過程が脳機能の障害を伴って遅れていることも明らかにされており、発達障害の子どもは幼児の段階で脳の障害により運動機能が十分に育たず、健常児よりも立っている時のふらつきやぐらつきが多く観察されたという研究結果もある。

軽度発達障害児と健常児の立位平衡機能の比較について

発達障害を持っている人の「気の散りやすさ」は多く指摘されるところであるが、周囲の環境に影響されて目がキョロキョロと動いてしまうことからそうしたふらつきやぐらつきが起きているとも考えられており、姿勢制御の未熟さがあることが考えられる。

自分の経験

たしかに氷野も、目がキョロキョロと動いてしまうことが多いな、というのは生活の中で実感されている。

例えば車に乗っている時などは、窓の外を流れる景色、特に店や家などの街並みに興味が引かれ、キョロキョロと辺りを見回してしまう。そのため注意散漫になることから危険だと判断し車の運転は一切していない。

逆に、特に興味が引かれない家の中などは目が動かず、ぼーっと動き回ることから、家財道具によくぶつかってはものを壊してしまったり、あざを作ったりしてしまって、よく叱られている。

そういえば思い出したのは、よく伴侶に「氷野は他の人の百倍身の回りのことに気を使わなきゃダメだよ」と言われていることだ。「つらいかもしれないけど、頑張れない時もあるかもしれないけど、それでも頑張って気を使わないと、危険だからね」と言われるのだ。

それが何故かよくわかっていなかったが、これらの論文を読んでようやく腑に落ちた。眼球運動がきちんと状況把握につながっていないから、ものがどこにあるのか認識できておらず、ふらふらと歩いてはものにぶつかってしまっていたのだ。

氷野のヘンな特徴として、夜電気をつけたがらない、というところがある。これはただの性格的なものだと思っていたのだが、普段から目に頼って生活していないから、トイレに行くくらいであれば電気をつける必要性を感じないのだろう。いや、これからはちゃんと電気をつけて生活していこうと思った。

身体の車幅感覚がわからない

こちらはアスペルガーの子を持つ母のブログであるが、その中に面白い記述があった。

自閉症の人ってよく物や人にぶつかっちゃう。どうして?【固有感覚の鈍麻】 – ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

固有感覚。聞きなれない言葉だと思います。これは、体で感じる感覚の一種で、みなさんが知ってる触覚や聴覚といった五感の仲間です。体の位置や体の動きの状態を感知する感覚で、主に筋肉や関節からそれらの情報を得ています。自分の体が、どんな体勢で空間の中でどこにあるのか(ボディイメージ)、そして周りの人や物と自分がどういう位置関係にあるのかを知るために必要な感覚なんですよね。

多くの人は、この固有感覚を意識することなく体をある程度思うように動かせているんですが、自閉症の人の中には、この感覚を他の人よりも強く感じ取ってしまう人(固有感覚の過敏)、逆に体の位置情報を他の人ほど感じられていない人(固有感覚の鈍麻)が多くいます。

ほうほう。

氷野はこの感覚のことを、「体の車幅感覚」とよく呼んでいた。

車を長く運転していると、車の車幅がおのずと体に染み付いて、バックで駐車したりカーブを曲がったりするときに車をぶつけずにそれらの行為が行えることはみな承知のことだと思うのだが、この車幅感覚が鈍い人と鋭敏な人がいる、ということである。

氷野はかなり鈍い方、氷野の伴侶はかなり鋭敏な方で、ものにぶつかる確率は、調べてこそいないが、かなり違っていると思う。

ちなみに氷野の伴侶は学習障害だと思われる。特に生活に支障がなかったので問題にならなかったのだが、マルを書いても始まりの場所に戻ってこれない、文字がクチャクチャになってしまう、漢字やアルファベットが覚えられず住所が書けない、簡単なボックスステップすら踏めないなどの特徴がある。

……これを「生活に支障がない」と言えるのかどうかは怪しいところであるが、とにかく本人が支障を感じていないので問題はないのであろう。住所はちなみに氷野が代筆している(とほほ……)。

氷野はこの体の固有感覚が鈍いために、自分の体がどこに位置しているのか把握できず、よくものにぶつかったり、持っているものを突然手から離してしまったりするのだな、とまた一個学んだ。

考察

普通の人であれば目で見て周囲の環境を把握し、固有感覚を持ってその環境の中で動作しており、それをほぼ無意識で行なっているのだが、発達障害などを持つ人はまず周囲の環境を目で見て把握できず(空間把握能力の欠如、距離感がつかめないなど)、体の車幅感覚を持っていない(固有感覚が鈍い)ことが多いために、ぼーっとしていてものにぶつかって怪我をしたり、人並み以上に注意をするために疲れやすくなってしまったりするのだろうなと思った。

ともかく、これらの感覚は鍛えなければ伸びないものであるからして、注意をする練習をしなければならないのだが……先の論文でも指摘があった通り、体育の時間が苦手なタイプのADHDである氷野にとって、これらの課題は一生物なのだろうなと思う次第なのであった。

発達障害を考えるカテゴリの最新記事